経済産業省のものづくりを支える部署「生活製品課」

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縁遠いお役所のようでいて、実は身近なものを支え続けてきた部署のお話

経済産業省「生活製品課」って何をしているの?——繊維課から生まれた、ものづくりを支える部署のお話

生地を選んだり縫製の情報を調べたりしていると、時々「経済産業省」という言葉を目にすることがあります。日本の繊維・アパレル政策の窓口となっているのが、製造産業局の「生活製品課」という部署です。以前は「繊維課」という名前だったこの部署が、なぜ今の名前になり、私たちのものづくりの世界にどう関わっているのか。今回はその背景を整理してみたいと思います。


「繊維課」から「生活製品課」へ——ある部署の進化の物語

明治・大正・昭和の日本において、繊維産業は輸出と経済を支える花形産業でした。そのため経済産業省(旧・通商産業省)には、長らく「繊維課」という専門の部署が置かれていました。しかし時代が進むにつれて繊維・アパレル産業の規模や位置づけは変化し、2016年6月の組織再編によって、繊維課を母体としながら日用品や住宅建材などを扱う課・室が統合され、現在の「生活製品課」が誕生しました。

この再編によって、衣服(衣)だけでなく、家具や日用品、住宅設備(住)といった、暮らしを豊かにする製品全体を横断的に見ていく体制になったといわれています。実際に経済産業省の組織令では、生活製品課の担当範囲として、綿花・羊毛・化学繊維などの原材料から糸、織物、ニット、不織布、縫製品まで、繊維に関するほぼすべての工程が明記されており、住宅設備機器やインテリア用品の生産に関する指導・助成も所掌事務として位置づけられています。

生活製品課の所掌事務には、綿花・麻・羊毛・化学繊維から糸、織物、ニット製品、不織布、縫製品にいたるまでの繊維工業品全般に関する事務が定められています。


経済産業省「製造産業局 組織図・所掌事務」

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生活製品課は、具体的に何をしているの?

生活製品課が担当する物資は、法律によって驚くほど幅広く定められています。整理すると、次のような分野になります。

担当している主な分野

・繊維・アパレル:原綿、化学繊維、糸、織物、ニット、不織布、縫製品、和装(着物)など
・日用品・雑貨:皮革(かばん・靴)、陶磁器、ガラス器、文房具、おもちゃなど
・住まい・建材:住宅設備機器、インテリア用品、建具、畳など
・伝統的工芸品:全国各地の国指定の伝統的工芸品(織物、染物、陶磁器など)

今、力を入れている取り組み

近年の生活製品課は、繊維産業を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、いくつかの重要な政策を進めています。2022年5月には「2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)」を策定し、新市場の開拓とサステナビリティ・デジタル化への対応を、繊維産業が進むべき方向性として示しました。ヨーロッパを中心に、環境や人権に配慮したものづくりへの要請が急速に強まっていることを踏まえ、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた資源循環の仕組みづくりや、環境に配慮した設計のガイドライン整備なども進められています。

もう一つの大きな柱が、国内の縫製工場やテキスタイル産地を守るための「適正な取引環境の整備」です。国内の生産現場は、海外との価格競争や厳しい納期にさらされがちなため、下請取引の実態調査やガイドラインの策定を通じて、不当な買いたたきが起きないよう目を配っています。加えて、縫製の現場を支える外国人技能実習・特定技能制度についても、日本繊維産業連盟やILO(国際労働機関)と連携した企業行動ガイドラインの策定など、働く人が適正な環境で技術を学べる仕組みづくりが進んでいます。

繊維・アパレル、皮革、住宅設備や日用品など、日常生活に密接に関連する製品について、業種を横断した政策を推進しているのが生活製品課です。


時評社「生活製品課 髙木課長インタビュー」

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ソーイングを愛する私たちとのつながり

生活製品課の後押しもあって広まってきた仕組みのひとつに「J∞QUALITY(ジェイ クオリティー)」という認証制度があります。これは一般社団法人日本ファッション産業協議会が運営するもので、「織り・編み」「染色整理加工」「縫製」というすべての工程を日本国内で行った商品だけに与えられる、純国産ブランドです。従来の「メイド・イン・ジャパン」よりも一歩進んで、各工程を担う企業がそれぞれ認証を受けることで、はじめて商品にJ∞QUALITYのタグをつけられる仕組みになっています。日本の縫製・テキスタイル産地の技術を残していくための取り組みとして、経済産業省も支援しています。

💡ミシンそのものは、別の部署の担当なんです。
縫製に欠かせない工業用ミシンや家庭用ミシンといった「機械」自体の産業は、同じ製造産業局の中にある「産業機械課」が担当しています。生活製品課が「布・糸・衣服・縫製技術」という産業全体を応援し、産業機械課がミシンや自動裁断機などの機械の開発を応援する。この2つの部署が連携しながら、日本の繊維・ソーイング業界を支えているというわけです。

まとめ

「生活製品課」という名前だけを見ると、少し縁遠いお役所の話に感じるかもしれません。でも、その中身をたどっていくと、私たちが普段手にしている生地や縫製品、そしてそれを作る産地や工場を、長い時間をかけて支え続けてきた部署だということが見えてきます。ふだん何気なく選んでいるファブリックの向こう側にも、こうした政策や仕組みが静かに息づいている——そう思うと、ものづくりへの向き合い方も少し変わってくる気がします。

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