ハンドメイド作家さんが直面する悩みとトラブル – マルシェ・イベント編
SNSで見かけるマルシェの光景は、いつも華やかです。丁寧に並べられた作品、笑顔で語らう作家さんとお客様。「私もいつか、あんなふうに出店してみたい」——そう憧れたことのある方は多いのではないでしょうか。けれど実際に一歩踏み出してみると、憧れだけでは見えなかった現実に戸惑うことも少なくありません。今回は、ハンドメイド作家さんたちが出店の前・当日・そして心の中で実際に抱えている悩みを、リアルな声とともに集めてみました。
第一章 出店にたどり着くまでの悩み
マルシェ出店は、決めた瞬間からすでに労力を伴います。まず立ちはだかるのが、準備の重さです。テーブルや什器、ディスプレイ用品、ラッピング資材……想像していた以上の手間とお金がかかることに驚く作家さんは少なくありません。
出店料と手間が、利益を圧迫する
ハンドメイド作品の委託販売スペースを運営するとあるグループによれば、実際にマルシェへ出店した作家さんの声を集めると、共通する悩みが見えてくるといいます。出店料や交通費を差し引くと利益がほとんど残らないこと、そして準備・搬入・設営・撤収だけで丸一日かかってしまうこと。マルシェは経験としては素晴らしい一方で、継続的な販売方法としては負担が大きいと感じる作家さんも多いようです。
出店料や交通費で利益がほとんど残らない。準備・搬入・設営・撤収に丸一日かかる。
— とある委託販売スペースを運営者
「自分の作品が合う場所」を見誤ってしまう
もうひとつよく聞かれるのが、出店先の客層と作品がかみ合わなかったという失敗談です。子ども向けイベントにピアスだけを持ち込み、耳に穴を開けていない子には販売できなかった、というエピソードもあります。過去の開催実績や来場者数、他の出店者のラインナップを事前に調べておくことで防げるミスですが、制作に必死になるあまり、こうしたリサーチが後回しになりがちなのです。
屋外マルシェはテント持参が必要な場合も多く、風対策や小雨時の対応が初心者には難しいという声もあります。そのため、初めての出店には屋内マルシェのほうが取り組みやすいとも言われています。出店料の相場は3,000円前後から1万円超えまでさまざまで、料金が高いマルシェほど集客力は高い一方、周囲の出店者のレベルも高くなる傾向があるようです。
第二章 当日、目の前で起きるトラブル
無事に出店にこぎつけても、当日には当日ならではの悩みが待っています。
天候と、思うように売れない現実
屋外イベントは天候が心配、土日開催ばかりで出られない——そうした声は多くの作家さんに共通しています。せっかく準備を重ねても、天気ひとつで来場者数は大きく変わってしまいます。また、初めての出店では緊張や不安の中で接客を行うことになり、必ずしも目標金額に届くとは限りません。売上が伸び悩む原因のひとつとして、現金しか用意していないお客様が購入をあきらめてしまうケースも指摘されており、複数のキャッシュレス決済を用意することで購入のハードルを下げられたという体験談もあります。
「もう少し安くならない?」への戸惑い
対面販売ならではの悩みとして多いのが、値引き交渉です。特定のお客様だけに値下げをしてしまうと他のお客様に対して公平さを欠くことになり、一度でも応じてしまうと「私も安くして」という要求につながりかねません。また、制作にかかる時間や労力が全く考慮されず材料費だけを念頭に価格が高いと言われることも。多くの作家さんは、丁寧かつ毅然とした態度でお断りするという対応を選んでいるようですし、お断りするのは当然であると感じます。ただし、まとめ買いをしてくれるお客様や、シーズンものの在庫を持ち越したくない場合など、状況に応じて多少の対応をすることが選択肢にあってもいいですね。
「イメージと違った」というクレーム
ハンドメイド販売で最も多いクレームは「思っていたイメージと違う」というものだといわれています。写真では明るく見えた色が実物では違って感じられたり、サイズ感の印象が異なっていたり。商品自体には問題がなくても、お客様の期待値とのズレが不満につながってしまうのです。「思ったより〜〜」「想像してたより〜〜」という思い込みとの差は、販売側としてはもやもやします。対面のマルシェでは、その場でお客様の表情から違和感を感じ取れる分、ネット販売とはまた違う気の遣い方が必要になります。
第三章 いちばん重いのは、心の負担かもしれない
出店料や天候といった目に見えるトラブルよりも、実は作家さんを一番疲弊させているのは、心の負担なのかもしれません。
作家としての自分に自信がなく、価格やこだわりをうまく説明できなかった。笑顔で接客しながら、心の中ではずっと疲弊していた。
— とあるハンドメイド作家
この言葉は、多くの作家さんの本音を代弁しているように思います。「マルシェに出ないと売れない」という思い込みに縛られ、無理をして出店を続けてしまう。けれど、SNSがこれだけ広まった今、マルシェに出店しなくても作品を届ける方法はいくつもあります。
クレームへの怖さが、一歩を重くする
「クレームが怖くて販売の一歩を踏み出せなかった」という作家さんの声も少なくありません。作品への自信のなさと、クレームへの漠然とした不安。実際に対応してみると、迅速に一次返信をすること、お詫びと事実確認だけを先に伝え、対応の提案は後にすることなど、落ち着いて向き合うための工夫があることも見えてきます。とはいえ、心の準備ができていないうちは、その不安だけで出店そのものが重く感じられてしまうものです。
「出さない」も、ひとつの選択肢
マルシェは、作品を直接手に取ってもらえる貴重な場である一方、体力・時間・費用の負担が大きいのも事実です。近年では、作家が作品を店舗に預けて販売を代行してもらう委託販売という形も広がっています。自分で接客や搬入・撤収を行う必要がなく、作品づくりそのものに集中できるようになったという声もあります。マルシェに出ることだけがハンドメイド作家としての正解ではなく、自分の得意・不得意や暮らしのペースに合わせて、販売方法を選び直してもいいのかもしれません。
ワンポイント:出店前に「客層」「屋内外」「出店料」の3つだけでも事前に調べておくと、当日の負担はぐっと軽くなります。持ち物リストを一度作っておけば、次回以降の準備もぐんと楽になりますよ。
まとめ 完璧を目指さなくていい
出店前の準備の重さ、当日の天候やお客様とのやり取り、そして心の中で抱える不安。マルシェ・イベント出店には、SNSの写真だけでは見えてこない現実がたくさんあります。けれど、それは決して「マルシェに向いていない」ということではありません。トラブルの多くは、事前に知っておくだけで防げるものだったり、経験を重ねることで対応できるようになるものだったりします。そして、どうしても負担が大きいと感じたときは、委託販売やオンライン販売など、別の形を選んでもいい。自分の作品と、自分の暮らしに一番フィットするやり方を、少しずつ見つけていってくださいね。
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