COLUMN
布や手芸にまつわる日本の方言、知っていますか?
ことばの小さな旅へ、ようこそ。
お裁縫や布あそびをしていると、ふとおばあちゃんや母の言葉が頭をよぎることがありませんか?
「きれっこ、もったいないから取っておきなさい」——そんな懐かしい言葉。
実は日本各地には、布や手芸にまつわるかわいらしい方言がたくさん残っています。
今日はそんな言葉たちをひとつひとつ、丁寧にご紹介したいと思います♪
🧵「端切れ」のいろんな呼び方
ハンドメイドをする方なら必ず出てくる「端切れ」。この小さな布の切れ端にも、地域によってさまざまな愛称があります。
きれっこ
東北から北海道を中心に使われる言葉。端切れのことを親しみを込めて「っこ」とつけて呼びます。「ちっちゃいもの」を表す接尾語が方言らしくてかわいらしいですね。
東北(特に秋田など)や北海道の方言で、名詞の末尾に「っこ」を付けて、親しみ、愛着、小ささ、可愛らしさを表現する「名詞+っこ」という使い方です
💡 ちなみに「端切れ」という言葉自体、もともとは正式な反物を裁った後に残った”余り”を指す言葉。いまでは愛されるハンドメイド素材のひとつです。
🪡 裁縫道具・動作にまつわる方言
針や糸を使う動作にも、地域の言葉が宿っています。日々の針仕事に寄り添ってきた人々の暮らしが感じられます。
めど(目処)
針の穴のことを「めど」と言うのは、もともと古語の名残。現代では「目処が立つ」という慣用句でおなじみですが、針仕事の世界では今でもこの言葉が使われることがあります。糸を通す小さな穴がそのまま「見通し」の比喩になったのでしょうか。
ぬいとり
刺繍のことを「ぬいとり(縫い取り)」と呼ぶのは、おもに西日本で使われてきた古い言い方。布の上に糸で模様を「取る」=描き写すというイメージが伝わってきます。刺繍という言葉より、どこかほっこりした温かみがありますね。
🧶「ぼろ」という言葉の深さ
「ぼろ布」というと少し侘しい響きに聞こえるかもしれませんが、実は今、世界から注目を集めている言葉なんです。
ぼろ
ぼろ切れ・つぎはぎだらけの布のことを指す言葉で、東北地方では特に「何度も継ぎを当てながら大切に使い続けた布」を意味します。近年は「BORO」として海外のテキスタイルアート界でも高く評価されており、日本の布文化の美しさを象徴する言葉になっています。
✨ 「ぼろ」の精神は、いまでいうアップサイクルやサステナブルなものづくりの先駆けとも言えます。布を最後まで使い切る日本の知恵は、現代のハンドメイドにも受け継がれていますね。
🌸 方言のなかに息づく、布への愛
こうして方言を集めてみると、昔の人たちがいかに布を大切に扱っていたかが伝わってきます。
端切れひとつ、古い着物のつぎはぎひとつにも、名前がついていた。その言葉の温かさに、なんだかじんわりします。
現代のハンドメイドも、きっとその延長線上にあるのでしょう。
布と向き合うとき、ちょっとだけこんな言葉たちを思い出してみてください。
きっと針仕事がもっと愛おしくなるはずです。
参考:
日本語の方言(Wikipedia) /
裁縫(日本大百科全書)
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