布のリサイクル – 現在地と未来

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使わなくなった布はできるだけリサイクルしたい。どうしたらいいんだろう。

布は、どこへゆくのか。
繊維リサイクルの現在地と、世界が描く未来

一枚の布が生まれるまでに、どれだけの水と時間が使われるのか——そう思いながら生地を選ぶ人が、確実に増えています。同時に気になるのが、服の「その後」のこと。捨てられた布は、いったいどこへ向かうのでしょうか。今回は、世界の最前線で起きていることをまとめました。

世界で生産されるテキスタイルのうち、繊維からふたたび繊維へとリサイクルされるのは、わずか1%にも満たない。


Textile Exchange, 2023

数字で見る、世界のリサイクル事情

繊維リサイクル市場は2024年に約60億ドル規模に達し、2034年にかけて年率5%前後の成長が予測されています。しかし市場の成長と実際のリサイクル率の間には、大きな差があります。

01  世界全体 — 回収・リユース・リサイクルされるのは約20%

残り80%は埋め立てか焼却へ向かいます。ヨーロッパでは一人あたり年間約11kgの衣料品が捨てられており、2000年以降、服の生産量は倍になりながら一着あたりの着用回数は減り続けています。

02  日本 — 再資源化率は約34%、ただし中身に注意

環境省のデータによる数字ですが、その多くは工業用研磨布や断熱材への転用です。「服から服へ」という真の繊維間循環はごく一部にとどまっています。

03  アメリカ — 約66%が埋め立て、法整備が進む

カリフォルニア州は2028年を目標に、衣料メーカーに州全体のリサイクルプログラム構築と費用負担を義務付ける法律(Responsible Textile Recovery Act)を施行予定。業界の大きな転換点となりそうです。


EUが動いた。衣類への「デジタルIDカード」義務化

2025年1月からEU全加盟国で繊維廃棄物の分別収集が義務化されました。さらに2024年7月には「エコデザイン規則(ESPR)」が発効し、衣類への「デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)」の導入が段階的に進んでいます。

2027年より、EU域内で販売されるすべての繊維製品に、素材構成・耐久性・修繕可能性・リサイクル適性などの情報を記録したデジタル記録の添付が義務付けられる。


CMS Law-Now, 2025年9月

服のタグに付いたQRコードをスキャンするだけで「この服は何の素材で作られ、どうリサイクルすべきか」が即座にわかる仕組みです。選別コストの削減だけでなく、消費者が購入前に環境負荷を確認できるようにもなります。

NOTE

EUの新規制では「拡大生産者責任(EPR)」も導入されます。衣類メーカーは製品の回収・選別・リサイクルにかかるコストまで負担する義務を負い、EU域外のブランドがEU向けにオンライン販売する場合も対象となります。

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繊維から繊維へ——化学リサイクルの最前線

「繊維リサイクル最大の課題は混紡素材だ」と専門家は口を揃えます。綿60%・ポリエステル40%のような素材は機械的な方法では分けられません。その壁を突き崩そうとする企業が、いま世界各地で急増しています。

Syre — ポリエステルの循環を工業規模で

H&MグループとTPGライズ・クライメートが共同設立したスウェーデンのスタートアップ「Syre」は、ポリエステル廃棄物を化学分解し新品同等の繊維に戻す技術を開発。2034年までに世界12ヶ所の工場で年間300万トン超のリサイクルポリエステルを生産する計画で、H&Mはその製品を7年間・総額6億ドルで購入する契約を結んでいます。

Circ & Infinited Fiber — 綿とポリを同時に救う

アメリカのCirc社は混紡繊維から綿とポリエステルの両方を回収し高品質な繊維に転換する独自技術を持ちます。InditexやPatagonia、Breakthrough Energyが出資。フィンランドのInfinited Fiber Companyは年産3万トンの工場を建設中で、将来の生産キャパシティはほぼ完売状態です。

産業界は、繊維が実際にリサイクルされる未来へ向かうことを受け入れた——あとは政策と産業の意欲が連動し続けられるかどうかだ。


Chemical & Engineering News, 2026年4月

素材によって、こんなに違う

ポリエステルはペットボトルリサイクルの技術が応用でき、現状では最も普及が進んでいます。ウールは繊維が長く、古くから「再生羊毛」として扱われてきた実績があります。綿は裁断・使用によって繊維が短くなり強度が落ちるため、バージン綿と混ぜて使うことが一般的。最も厄介なのが混紡素材で、多くが熱エネルギーとして焼却利用されています。

POINT

綿100%・ウール100%など単一素材の服を選ぶと、リサイクル効率が格段に上がります。また、ボタン・ファスナー・スパンコールなど取り外せるものを外してから出すことも、処理施設への大きな助けになります。


繊維リサイクルの世界は、いまちょうど「草の根」から「産業」へと移行しつつある時期にあります。技術はある。意志もある。法律も整いつつある。あとは、私たちが布と長く付き合う文化を育てることではないでしょうか——丁寧に選び、大切に使い、いつかは次の命に渡す、という意識を持ちながら。

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