抗菌加工生地とは?

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ひとくちに「抗菌加工」と言ってもまざまな種類があります

「抗菌加工」の生地って、実際どんな仕組み?やさしく知る繊維の科学

タオルや靴下、マスクなどのタグでよく見かける「抗菌加工」の文字。なんとなく「菌に強そう」というイメージはあっても、実際に生地の中で何が起きているのかまでは、あまり知られていないかもしれません。今日は、抗菌加工の生地がどうやって作られていて、どんな仕組みで働いているのかを、ひとつずつゆっくりひも解いていきます。


銀(シルバー)が細菌を弱らせる、静かな仕組み

抗菌加工の中でもっともよく使われている素材のひとつが「銀」です。銀は昔から傷の手当てなどに使われてきた歴史のある金属ですが、抗菌加工の生地では、ごく小さな銀の粒子を繊維の表面にコーティングしたり、糸そのものに練り込んだりして使われています。

銀そのものが「爆発するように菌をやっつける」わけではありません。生地が汗などの水分を含むと、銀からごくわずかな「銀イオン」というものがゆっくりと溶け出します。この銀イオンが細菌の表面や内部にあるたんぱく質にくっつくことで、細菌が呼吸したり、増えたりする働きを邪魔してしまう。これが銀の抗菌力の正体です。

“Highly bioactive silver ions bind with proteins inside and outside bacterial cell membranes thus inhibiting cell respiration and reproduction.”

(日本語訳:活性の高い銀イオンは、細菌の細胞膜の内外にあるたんぱく質と結びつき、細菌の呼吸や増殖を妨げる)


Journal of Nanostructure in Chemistry

「練り込み」と「コーティング」、ふたつの加工方法

銀の抗菌加工には、大きく分けてふたつの方法があります。ひとつは、糸を作る段階から銀の成分を練り込んでしまう方法。もうひとつは、すでに織り上がった生地の表面に、後から銀の成分をコーティングする方法です。練り込みタイプは繊維の内側にまで銀が入っているぶん摩擦に強く効果が長持ちしやすく、コーティングタイプは綿などの天然繊維にも施しやすいという特徴があります。

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竹やキトサン。植物がもともと持っている抗菌の力

抗菌力は、後から加工しなくても、繊維そのものが生まれつき持っていることもあります。その代表例が竹です。竹には「バンブークン」と呼ばれる天然の成分が含まれていて、これは竹の細胞壁をつくるリグニンという物質に由来しています。フェノール性の化合物などが細菌の膜にはたらきかけ、増殖をおさえてくれるのです。

“Laboratory testing demonstrates that bamboo fabric can inhibit bacterial growth by up to 99.8%—nearly equivalent to silver ion performance.”

(日本語訳:実験によると、竹の生地は最大で99.8%の細菌増殖を抑制でき、これは銀イオンとほぼ同等の性能である)


Kragbuzz

もうひとつ、手芸好きの方には「キチン・キトサン」という名前を耳にしたことがある方もいるかもしれません。これはカニやエビの殻に含まれる成分から作られる天然由来の抗菌素材で、綿などの繊維にしみこませて使われます。竹もキトサンも、繊維自体が持つ性質を生かした加工なので、洗濯をくり返しても効果が落ちにくいという良さがあります。

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「常にオン」ではなく「必要なときだけ」働く、賢い仕組みも

抗菌加工と聞くと、常に強い成分が出続けているようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実はそうではないタイプもあります。生地の中に極小の銀の結晶を仕込んでおき、汗などの水分や、細菌が増えやすい環境になったときだけ、必要な分だけ銀イオンを放出する、というコントロールされたタイプです。乾いていて清潔な状態のときは、いわば「お休みモード」になっているのです。

“Some technologies contain ultra-fine silver crystals that release silver ions at a controlled rate only when conditions for bacterial growth exist.”

(日本語訳:一部の技術では、極めて微細な銀の結晶を用い、細菌が増殖しやすい条件がそろったときだけ、コントロールされた量の銀イオンを放出する)


Haining Leading Textile Co., Ltd

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日本の「SEKマーク」って、何を証明しているの?

タオルやマスクのタグで見かける「SEKマーク」。これは、一般社団法人繊維評価技術協議会が運営している、業界の自主的な認証制度です。「抗菌防臭加工」は、皮膚に常にいる黄色ぶどう球菌の増殖をおさえて、汗などのイヤなにおいを防ぐことを目的とした加工に対して与えられます。

効果があるかどうかは、JIS L 1902という日本の産業規格にもとづいた試験で数値として確認されます。菌を含んだ液を布に吸わせて一定時間置き、菌がどれくらい増えたか(あるいは減ったか)を、加工していない標準の布とくらべて測定するという方法です。

SEKマークを取得するためには、公的機関で様々な試験(毒性試験、皮膚刺激試験、洗濯試験等)をクリアしなければなりません。


廣盛(HIROMORI) コラム

つまりSEKマークは、単に「効果があります」という宣伝文句ではなく、効果の程度・持続性・安全性のすべてを、第三者機関の試験でクリアしたものだけに与えられる目印なのです。生地を選ぶときに、ひとつの安心材料になりますね。

ちいさなコラム:オーガニックコットンのように、農薬や化学的な処理をできるだけ避けた生地には、抗菌加工そのものが施されていないことも多くあります。「抗菌加工がない=清潔でない」ということではなく、素材の選び方の違いだと考えるとよいかもしれません。作品に合わせて、加工の有無も含めて生地を選ぶ楽しみがありますね。


まとめ ― タグの向こうにある、小さな科学

ひとくちに「抗菌加工」と言っても、その中には銀イオンのようにたんぱく質にはたらきかけるもの、竹やキトサンのように植物がもともと持つ力を生かしたもの、そして必要なときだけ静かに働く賢い仕組みまで、さまざまな種類がありました。次にタオルやマスクのタグを見るとき、その小さな文字の向こうにある仕組みを、少しだけ思い出してもらえたらうれしいです。生地選びが、いつもよりちょっとだけ面白くなりますように。

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