Riley Blake DesignsがBirch Fabricsの独占ディストリビューターに。オーガニックコットンの人気ブランドが迎えた「次の章」
2026年9月、アメリカのキルトコットン業界から、静かに、けれど見逃せないニュースが届きました。ユタ州を拠点とするファブリックメーカー Riley Blake Designs(ライリー・ブレイク・デザインズ)が、モダンなデザインとオーガニックコットンで知られる Birch Fabrics(バーチ・ファブリックス)の独占ディストリビューター、つまり独占的な流通の窓口になったというものです。
大手メーカーと、サステナブルな布づくりを掲げてきた個性派ブランド。この組み合わせは何を意味するのでしょうか。
何が発表されたのか
発表は2026年9月4日、Riley Blake Designs の公式ブログで行われました。タイトルは「Riley Blake Designs Welcomes Birch Fabrics!」。ブログの冒頭では、次のように伝えられています。
“Riley Blake Designs is now the exclusive distributor of Birch Fabrics!”
(日本語訳)Riley Blake DesignsがBirch Fabricsの独占ディストリビューターになりました!
ディストリビューターとは、メーカーとお店をつなぐ卸の窓口のこと。今回の発表では、Birch Fabrics を扱うお店は Riley Blake Designs を通して商品を取り扱っていく形になる、ということでした。ブログの末尾には、ショップオーナー向けに「Riley Blake Designs の営業担当、またはカスタマーケアに問い合わせてください」という案内が添えられていました。
Birch Fabrics のCEO、Cynthia Mann(シンシア・マン)さんは、17年の歩みの中で Riley Blake Designs の歩みを敬意をもって見てきたと語り、自社のプレミアムなオーガニックファブリックや Charley Harper のライセンス柄を、Riley Blake のお客様にも届けられることを喜んでいます。Riley Blake Designs のオーナー、Cindy Cloward さんは、Birch の独創的でアーティスティックなデザインへの敬意を語り、Birch の魅力をもっと手に取りやすくしていきたいとコメントしています。
発表には書かれていないこと
取扱いの開始時期、既存の取引先の扱い、日本を含む各国での販売の枠組みなど、細かな条件はこのブログ記事には書かれていません。今後の動きは、各社からの続報を待つ形になりそうです。
Birch Fabrics とはどんなブランド?
Birch Fabrics(正式には Birch Organic Fabrics)の始まりは2009年。ソーイング雑誌 Seamwork の紹介記事によれば、創業者の Cynthia Mann さんは、自分の布のお店で売りたいオーガニックの生地が見つからず、「それなら自分が、みんなのために作ろう」と動き出したそうです。出発点は、カリフォルニア州パソ・ロブレスの小さな実店舗を拠点にしたオンラインショップ「Fabricworm」でした。
ブランドの柱は、100%オーガニックコットンと、環境負荷の低い染料(ローインパクトダイ)によるプリント。ブランド紹介では、綿の栽培から輸送、製織、酸素系の漂白(塩素を使わない方法)、プリント、そして国際労働機関(ILO)の基準に沿った労働環境まで、認証機関が工程ごとに確認していると説明されています。「オーガニック」は畑だけの話ではなく、布になるまでの道のり全体を指している、ということですね。
“Just because it is organic, doesn’t mean it can’t also be fun!”
(日本語訳)オーガニックだからといって、楽しくないわけではありません!
この言葉どおり、Birch の魅力は「真面目さ」と「遊び心」融合にあります。Charley Harper をはじめ、Mustard Beetle、Emily Isabella、Kristen Balouch、Jenny Ronen といったデザイナーの柄が揃い、コットンのほかリネンもラインナップされています。
PROFILE
Birch Fabrics(Birch Organic Fabrics)
創業:2009年/創業者:Cynthia Mann(現CEO)
特徴:100%オーガニックコットン、ローインパクトダイ、モダンで少し遊び心のあるデザイン
公式サイト:birchfabrics.com
Charley Harper という名前が、ひときわ大きく語られた理由
Riley Blake Designs の発表で、見出しにまで掲げられていたのが「Charley Harper(チャーリー・ハーパー)のアートを祝う」という一節です。Birch がライセンスを持つこの作家は、1922年生まれ、アメリカ・シンシナティを拠点にしたモダニズムのアーティスト。鳥や虫などの生きものを、ごく少ない形と鮮やかな色で描く作風で知られ、本人はそれを「ミニマル・リアリズム」と呼んでいました。
Birch と Charley Harper のコラボレーションは古く、2013年末には、長く待たれていたコレクションがついに登場したと、当時のキルトブログが伝えています。その後も、Ford Times 誌に掲載された鳥のイラストを集めた「Ford Times Birds」(Vol.1とVol.2、2023年)や、1982年のポスターをもとにした「Michigan Audubon」、1979年のシンシナティ・ネイチャーセンターのポスターに由来する「Woodland Wonders」(2026年7月入荷予定とされていたコレクション)と、原画の背景まで丁寧にたどったシリーズが続いています。
Riley Blake Designs は今回、この Charley Harper の柄を「これからも布として届けていく」ことに特に触れています。ブランドの顔ともいえるライセンスを引き継いで育てていく、という姿勢の表れだと言えそうです。
PROFILE
Charley Harper(1922年8月4日〜2007年6月10日)
アメリカのモダニズムのアーティスト。野生動物を描いた簡潔で鮮やかな作品で知られる
関連ページ:Fabricworm「Charley Harper」
迎え入れる Riley Blake Designs という会社
Riley Blake Designs は、ユタ州のサンディとアルパインを拠点とする、家族経営のファブリックメーカーです。2008年、卸売の生地ビジネスに携わっていた Bret & Cindy Cloward 夫妻が、おしゃれなソーイングを楽しむ人に向けた、もっと洗練されたプリントを届けたいと立ち上げました。ヴィンテージの空気感とモダンな感覚を合わせたデザインが持ち味で、綿のほかフランネル、ニット、ラミネートなども展開しています。
販売先は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアの、独立系の小売店やキルトショップ。大手チェーンではなく、街の手芸店やキルトショップを通じて届けるスタイルを大切にしてきたメーカーです。公式ブログのカテゴリーには、NASA、ジェイン・オースティン・ハウス、ピーターラビット、Hot Wheels、英国王立園芸協会など、数多くのライセンス・コレクションも並んでいます。
つまり、すでに多彩な「ライセンスもの」を手がけ、独立系ショップとの流通網を持つ会社が、アーティスト性の高いライセンス柄とオーガニック素材を持つブランドを迎え入れたという構図です。
まとめ:布の世界に起きた、小さくて大きな変化
今回のニュースを整理すると、確かなことは次の三つです。(1) Riley Blake Designs が Birch Fabrics の独占ディストリビューターになったこと。(2) 両社とも Charley Harper のライセンス柄やオーガニックコットンをこれからの大切な軸として語っていること。(3) 取引の詳細はショップオーナーが各社の窓口に問い合わせる形になっていること。
ここから先は想像の域を出ませんが、独立系のショップに強いメーカーの流通網にのることで、Birch のオーガニックファブリックを手に取れる場所が広がっていくのかもしれません。生地選びに「環境への配慮」という物差しが少しずつ当たり前になっていく中で、こうしたブランド同士の結びつきが、私たちの選択肢をどう変えていくのか。今後の続報にも注目していきたいと思います。
参考にした情報
・Riley Blake Designs Blog「Riley Blake Designs Welcomes Birch Fabrics!」(2026年9月4日)
・Seamwork「Birch Organic Fabrics」
・Faire「Birch Fabrics」ブランドページ
・Fabricworm「Charley Harper」
・Red Pepper Quilts「Charley Harper for Birch Fabrics」(2013年12月)
・FaveCrafts「Riley Blake」
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