笑えて、泣けて、学べる。海外ソーイングコミュニティが打ち明ける「やらかし」の記録
ミシンの前に座るとき、誰もが「今日こそうまくいく」と思っている。布を広げ、型紙を置き、はさみを入れる——その瞬間まで。海外のソーイングブログやSNS、コミュニティフォーラムには、手芸にまつわる笑えない(いや、あとから笑える)失敗談が山ほど積み上がっている。今回はそのなかから、思わず「あるある!」とうなずいてしまうエピソードを、たっぷりとご紹介します。どうかお茶を用意してから読んでください。
「ていねいに洗えばよかった」——水通しと地直しの洗礼
布を買ってすぐ裁断したくなる気持ち、誰しも覚えがあるはず。でも「水通し(プレウォッシュ)」を飛ばしたときの代償は、想像以上に手痛い。
“I made a gorgeous maxi dress once. I mean, Vogue-cover-worthy. Then I washed it. It came out toddler-sized. Somewhere, a teddy bear is living its best fashion life.”
(訳)「最高のマキシワンピを作ったんです。雑誌の表紙に出られるくらいの自信作。洗濯したら……子ども服サイズになって出てきました。どこかのテディベアが今ごろ最高のおしゃれを楽しんでいると思います」
コットン・リネン・ビスコースなどの天然繊維は、初めて洗濯すると縦方向に最大10%ほど縮むことがあるとされています。完成してから洗って縮んでしまっては、手間もお金も水の泡。水通しは、「仕上がり後に洗うのと同じ方法で、先に洗っておく」だけのこと。面倒に感じても、これだけで多くの悲劇を防ぐことができます。
接着芯が浮いてしまった話
水通し失敗の続きとして、接着芯のトラブルも定番です。アメリカの手芸ブログ「Gertie’s New Blog for Better Sewing」では、プロの芯地職人がこう語っています——「よく聞くのは、布地を先に水洗いや地直しをせずに接着芯を貼ってしまうこと。洗濯後に芯地と布地が別々に縮んで、表面にぷくぷくとした浮きや波打ちが生じてしまう」。接着芯を貼る前に、布地の水通しを忘れずに。
「切ってしまった……」——裁断にまつわるドラマ
裁断は一発勝負。やり直しのきかないこの工程での失敗談は、とくに胸が痛いものが多い。海外コミュニティには、今でも語り継がれる「伝説の裁断ミス」がたくさんあります。
“I once cut a sleeve out of my mother’s tablecloth that I had failed to completely remove from the kitchen table before I started cutting. After she stopped fussing, we cut TWO blouses out, one from the fabric, and one from the kitchen tablecloth. It really was a pretty tablecloth. I smile every time I see my high school senior picture. I was wearing my mother’s tablecloth.”
(訳)「キッチンテーブルから母のテーブルクロスを完全にどかさないまま裁断を始めて、うっかり袖を一枚、テーブルクロスから切り出してしまいました。母が怒るのをやめてから、わたしたちはそのまま生地とテーブルクロスの両方からブラウスを2枚作りました。本当にきれいなテーブルクロスでしたよ。高校の卒業アルバムの写真を見るたび微笑んでしまいます——あの日のわたしは母のテーブルクロスを着ていたんです」
Creativebugのコミュニティにも、こんな声が寄せられています。「雲と雨粒柄の布でワンピースを作り上げてから、雨が上から下ではなく下から上に降っていることに気づいた」——柄の上下を間違えて裁断してしまったというこの話、思わず笑ってしまいますが、あるある度は非常に高い。ほかには「アップリケのクッションをやっと完成させ、余分な糸を切ろうとした瞬間、生地に大きな穴を開けてしまい、全部やり直した」という声も。
ウェディングドレスのパーツがゴミ箱へ
友人のウェディングドレスを手作りした、ある女性の話。すべてのパーツを裁断し終えてビニール袋にまとめ、翌日縫おうとしたところ、袋が見当たらない。イタリアから来ていた姑がゴミだと思ってこっそり捨てていたのです。すでにゴミ収集車は去ったあと——泣く泣く生地を買い直したそうです。笑い話ですが、完成品を想像するとため息しか出ない。
→商用利用OKのかわいいUSAコットンあります・輸入生地のオンラインショップ
「どうしてそうなった」——縫い間違いの名場面集
縫い間違いのバリエーションは実に豊富です。裏表の逆縫い、左右の取り違え、なぜかそこに縫い付けてしまったパーツ……海外の手芸コミュニティが打ち明けてくれた失敗談をご紹介します。
“I made some shorts for my son. They had sharks as design and one leg was fine…but the other was upside down.”
(訳)「息子のハーフパンツを作りました。サメ柄の布で。片足はうまくいったのに、もう片足のサメが逆さまになっていて」
同じフォーラムには「バケツバッグを作り、持ち手を表地と裏地の間の内側に縫い込んでしまった」「ジッパーの引き手がクッションの内側に入ってしまった」という声も。Quiltingboardのユーザーは「リングベアラー用ピロー(指輪を運ぶ枕)を締め切り直前に完成させたところ、うまくいかなくてブライダルショップに飾り用のものを売ってもらうことに。あのピロー、結婚よりも長持ちしました」と笑い飛ばしていました。
縫い合わせたのは…リッパーでした
思わず二度見してしまうエピソードも。あるユーザーが「友人がウエストバンドの内側にリッパー(縫い目をほどく道具)を縫い込んでしまったと教えてくれました。これって……皮肉ですよね」と書き込んでいました。縫い間違いをほどくための道具が、縫い間違いの犠牲になるとは。ソーイングの神様はユーモアがお好きなようです。
縫い間違えたときに役立つ鉄則:「縫い始める前に、縫う順番を声に出して確認する」。声に出すことで、頭のなかだけで完結していた思い込みが外に出て、間違いに気づきやすくなります。
「戦犯はあなたです」——ペットと家族が巻き起こす事件
ソーイングルームは、なぜか家族やペットが入り込みたがる不思議な空間。そして彼らはだいたい、一番よくないタイミングで現れます。
“Watching my sewing machine crash to the floor as a result of my two dogs playing chase under the table! … It was raining out and then a crack of thunder came. My dog came running under my feet and sat on the serger pedal. So much for the pants I was making.”
(訳)「2匹の犬がテーブルの下でかけっこをして、ミシンが床に落ちるのを目撃しました!……雨の日に雷が鳴ったとき、怖がった犬が走り込んできてロックミシンのペダルを踏んでしまいました。作りかけのパンツよ、さようなら」
ペットにまつわるエピソードはほかにもあります。3週間かけて作ったフロアレングスのドレスを、お客様のもとへ届けた途端、子犬が20分で破壊してしまった、というプロの洋裁師の悲話も。また、縫い終えたばかりのキルトを仕上げの糸カット中に、内側に開いたままのピンを踏んでしまったという話も笑えない……いや、少し笑えます。
夫が持ち帰った生地でできたワンピース
Quiltingboardのフォーラムには、こんなほのぼのした失敗談も。「新婚でお金がなかった頃、夫が家具会社の端切れ生地を持ち帰ってくれました。それでワンピースを作って着ていたら、あるインテリアの内覧会に招待されて——会場に入ったら、自分がソファとまったく同じ布を着ていることに気づいて、ずっとキッチンに隠れていました(笑)」。生地の出所を確認することの大切さを、洒落のきいた形で教えてくれる逸話です。
失敗が教えてくれたこと——海外ソーイストたちのリカバリー術
失敗話は笑いのタネだけではありません。海外のソーイングポッドキャスト「Seamwork Radio」では、失敗を乗り越えたリスナーたちのエピソードが紹介されています。
Marjorie thought she had ruined the dress she was sewing to wear to her son’s wedding when she burned a hole in it. After literally throwing the dress in the trash, she decided to turn the flaw into a feature and added hand embellishment to cover the burn. / Maressa was ready to give up on a knitting project after repeatedly ripping out a sleeve she couldn’t get quite right. After deciding to pivot and make the sweater sleeveless, she created one of her most loved and worn knitting projects of all time.
(訳)マージョリーさんは、息子の結婚式に着ていくドレスにアイロンで穴を開けてしまい、一度はゴミ箱に投げ込んだ。でも思い直して、焦げ跡をビーズ刺繍で覆い、世界に一つだけのデザインに変えました。マレッサさんは、袖の編み直しを何度繰り返してもうまくいかず、思い切ってノースリーブにアレンジ。その作品が、今でも一番よく着るお気に入りになりました。
「The Sewcialists」ブログでは、あるエディターがこう書いています——「わたしはだいたい10作品に1回は失敗する。失敗しないなら、それは控えめすぎるか、思い切りが足りないサインだと思っている」。失敗は実力のなさの証明ではなく、挑戦のしるし。海外のソーイングコミュニティはそんな考え方で、お互いの失敗を共有し、笑い合い、また次の一枚へと向かっていきます。
海外のソーイスト達がよく言う言葉:「Sharing fails is good for the soul(失敗を話すことは、心にとっていいことだ)」。失敗談を打ち明けることで、孤独感が和らいで、コミュニティへの信頼感が生まれる——これはどの国のソーイング文化にも共通する真実のようです。
失敗は、ソーイングの一部です
今回ご紹介したエピソードは、すべて「それでも縫い続けた人たち」の話です。テーブルクロスを誤って切り、ソファと同じ服を着て宴会に出て、愛犬にミシンを倒され、ウェディングドレスのパーツをゴミに出され——それでも誰もはさみを置いていない。
海外のソーイングコミュニティでは「This world has two kinds of sewists: those who have made these mistakes, and those who are going to(この世界には2種類のソーイスト。こういうミスをしたことがある人と、これからする人だ)」という言い回しが広く共有されています。失敗はゴールではなく、通過点。その先に、うまくいった一枚が待っています。
あなたにも、忘れられない「やらかし」はありますか?
jumble shop oneでは、厳選した海外ファブリックを取り揃えています。
次の作品の布選びに、ぜひ覗いてみてください。
