超幅広生地 Wideback とは?

Shop Manager
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日本の生地屋さんではなかなかお目にかかれない超幅広生地。大きくて輸送コストもかかるので海外から輸入して販売するとなると、販売価格もかなり高くなってしまいます。

widebackってなに? 海外の生地屋で見かける「超幅広生地」のすべて

海外のキルティングショップや生地屋のウェブサイトを眺めていると、「wideback」や「108″ wide backing」という言葉に出会うことがあります。日本ではあまり馴染みのないカテゴリーですが、アメリカやカナダのキルターたちにとっては、もはや欠かせない定番のアイテム。その幅、なんと約274cm(108インチ)。通常の生地の2倍以上の幅を持つこの特別な生地は、いったいどんなもので、どのように使われているのでしょうか。今回は、widebackの基本から、その誕生の背景、流通の仕組みまで、海外の情報をもとにご紹介します。


widebackとは — その基本的な特徴

widebackとは、キルト(パッチワークキルト)の裏地として使うために作られた、幅の広い生地のことです。通常のキルティングコットンが幅約107〜112cm(42〜44インチ)であるのに対し、widebackは主に幅約274cm(108インチ)で販売されています。なかには幅300cm(118インチ)のものも存在します。

なぜ108インチが標準なのか

アメリカのベッドサイズに合わせた設計です。クイーンサイズ(約213cm×228cm)やキングサイズ(約259〜274cm×228cm)のキルトを一枚の布で裏当てするには、108インチという幅がちょうどよいとされています。ダブルベッドからキングサイズまで、1〜3ヤード(約90〜270cm)の購入で裏地が完結するよう設計されているのです。

「通常の44インチ幅の生地でキングサイズキルトの裏地を作ろうとすると、9ヤード以上必要になります。でも108インチのwidebackなら、3〜4ヤードで足ります。」


Missouri Star Quilt Co.

素材・ラインナップ

素材の主流は100%コットンです。プレスしやすく、針通りがよく、洗濯後の縮みも少ない。それに加えて、フランネル(起毛コットン)、バティック(インドネシア・ろうけつ染め風プリント)、ミンキー(Cuddle/Minky)と呼ばれるフリース状の超やわらか素材なども、60インチ・90インチ幅でラインナップされています。プリントは無地やシンプルなテクスチャー柄が多いですが、人気デザイナーが手がけたフローラル、幾何学柄、季節モチーフのプリントも年々増えています。

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なぜ生まれたのか — ロングアームキルティングとの深い関係

widebackの普及を語るうえで欠かせないのが、「ロングアームキルティングマシン(longarm quilting machine)」の存在です。ロングアームとは、大型のキルトをフレームに張り、ミシンヘッドを動かしながら3層(表地・中綿・裏地)を一気にキルティングしていく専用機械のこと。19世紀末から原型が開発され、1970〜80年代にかけてアメリカのミズーリ州でNolting社などが実用化を進めたことで、一般のキルターにも広まりました。

ロングアーマーが愛用する理由

ロングアームマシンでキルトを仕上げる専門家(ロングアーマー)にとって、裏地の準備は非常に重要な工程です。複数枚の生地を縫い合わせて裏地を作ると、つなぎ目(シーム)がフレームのテンションに影響したり、仕上がりの表面に縫い目が浮き出てしまうことがあります。一枚のwidebackを使えば、継ぎ目がない(seamless)なめらかな裏地が完成します。

「ロングアームキルターとして、一枚の生地を裏地として張るときほど嬉しいことはありません。これがwidebackを愛してやまない理由です。」


Big Sky Quilts

2000年代以降、ロングアームサービスを提供する個人や小規模ショップが急増したことで、「プロに仕上げを頼む」キルターが増えました。その流れにともない、裏地として使いやすいwidebackへの需要も急速に高まっていきます。近年、市場でのwidebackの品数が増えているのは、この背景があってこそです。

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生産とメーカー — どこが作っているのか

widebackを展開している主要メーカーは、いずれもアメリカのキルティングファブリック業界を代表するブランドです。

主なメーカー

Moda Fabrics(テキサス州)は、3 Sisters、Bonnie and Camille、Robin Pickensといった人気デザイナーのコレクションにあわせたwidebackを豊富に展開しており最大手の一角です。Riley Blake Designs(ユタ州)は、Lori Holtをはじめとするデザイナーコレクションと連動した108インチ幅のラインナップが充実。Northcott Fabrics(カナダ)、Andover FabricsFreeSpirit(Tula Pinkなどを擁するブランド)、Robert Kaufmanなども、それぞれの個性あるwidebackコレクションを持っています。

生産の特殊性

108インチという幅を織るには、通常のキルティングコットン用の織機よりも大幅に広い専用設備が必要です。そのため、通常の生地ラインとは別に生産管理されており、デザインや品番体系も独立しているケースがほとんど。ボルト(巻き)も通常の生地より長く巻かれていますが、売り場では4層に折りたたまれた状態で展示されるため、購入時には生地の層がずれていることも多く、切る際に注意が必要とされています。

価格について
widebackは1ヤードあたりの価格が通常生地より高く見えます(目安:15〜25ドル程度)が、1平方インチあたりに換算すると実はお得。44インチ幅の生地1ヤードが約1,584平方インチであるのに対し、108インチ幅のwidebackは1ヤードで約3,888平方インチ。必要なヤード数が大幅に減るため、総コストを抑えられるケースがほとんどです。

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流通 — どこで買えるのか

widebackは主に、アメリカ・カナダのキルティング専門ショップで販売されています。実店舗でも取り扱いは増えていますが、その幅広さゆえに在庫管理が難しく、豊富な品揃えはオンラインショップに軍配が上がります。

主要な販売チャネル

Missouri Star Quilt Co.(missouriquiltco.com)は全米最大規模のキルト専門オンラインショップのひとつで、数百点を超えるwidebackを在庫しています。Fat Quarter Shop(fatquartershop.com)はデザイナーとのコラボ商品が充実。Shabby FabricsはModa・Riley Blake・Northcottなど16以上のメーカーのwidebackを横断して扱っています。このほか、Nebraska Quilt CompanyMaple Leaf Quilting(カナダ)など、各地のキルトショップが独自の品揃えでオンライン販売を展開しています。

「近年、市場に出回るwidebackの数が急増しています。かつては希少でしたが、今ではさまざまなメーカーからプリント・無地とも豊富に選べるようになっています。」


Cuddle Cat Quiltworks

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キルト以外の使い方 — その幅の広さが生む可能性

widebackはその名の通りキルトの裏地に使うのが本来の目的ですが、その幅の広さとコストパフォーマンスを活かして、さまざまな用途に使うキルターが増えています。

活用アイデア

カーテン:上部を二つ折りにしてカーテンレール通しにするだけで、縫い目なしのオリジナルカーテンができあがります。テーブルクロス:テーブルサイズに切って、端をミシンがけするだけで完成。リバーシブルのテーブルクロスにすることも可能です。ホールクロスキルト:柄のあるwidebackを2枚使い、間に中綿を挟んでキルティングするだけで、ピーシング(つなぎ合わせ)不要のキルトが生まれます。バインディング(縁どり):幅が広いため、長い一枚のバインディング用テープを取ることができ、角での継ぎ目の心配が減ります。背景布として:無地やテクスチャー系のwidebackを、キルトトップのブロックのバックグラウンドに使うキルターも増えています。

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まとめ — 日本のものづくりにも取り入れてみたい視点

widebackは、アメリカのキルティング文化とロングアームマシンの普及という歴史的な流れのなかで生まれ、育った生地です。「裏地」という脇役のような立場でありながら、縫い目のない美しい仕上がりと高いコストパフォーマンスで、多くのキルターから愛されています。

日本では大判のベッドキルトを作る文化はまだ少ないかもしれませんが、大きなのれんや壁かけ作品の裏打ち、テーブルクロスやランナーの素材として、widebackのような発想はおもしろいかもしれません。幅と素材の可能性という観点から、海外の生地文化を眺めてみるのも、ものづくりの視野を広げる一歩になるのではないでしょうか。

jumble shop oneでは、厳選した海外ファブリックを取り揃えています。

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