インド繊維省の最新統計を読み解く – クラフト輸出増

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日本でもインドの安価なブロックプリント生地を取り扱うお店が増えています。これも統計上の数字に表れているのでしょうか。

インドのハンドクラフト輸出が前年同月比41.4%増。繊維省の最新統計を読み解く

手織りの布、刺繍、金属細工、木工品。世界の手仕事を支えている国のひとつがインドです。2026年9月、そのインドの繊維省が公表した最新の輸出統計で、ハンドクラフト(手工芸品)の伸びが目を引く数字になりました。ただ、数字が大きいときほど、何を数えた数字なのかを落ち着いて確かめたいところです。


9月17日の発表で何が示されたのか

インド繊維省の発表を伝える報道によると、2026年8月のインドの繊維輸出は、前年同月の2,565億6,000万ルピー(25,656クロール)から、2,977億6,000万ルピー(29,776クロール)へと、前年同月比16.1%増加しました。なお、インドの数字で多く使われる「1クロール」は1,000万ルピーにあたります。4月から8月までの累計は約1.43兆ルピーで、前年同期より10.3%増えています。

このうち、ハンドクラフト(手織りカーペットを除く)は8月単月で41.4%増、4月から8月の累計で44.0%増と、報じられた区分のなかで最も高い伸びでした。

handicrafts, excluding handmade carpets, registered particularly strong growth of 41.4 per cent

(訳)ハンドクラフト(手織りカーペットを除く)は、特に強い41.4%の伸びを記録した

— SocialNews.XYZ(繊維省の発表を伝える報道)

ほかの区分の伸び率も並べてみます。

区分 2026年8月 4〜8月累計
ハンドクラフト(手織りカーペット除く) +41.4% +44.0%
綿糸・綿織物・made-ups・ハンドロームなど +24.1% +18.0%(綿製品)
化学繊維の糸・織物・made-ups +19.9% +13.6%
カーペット +15.0% +11.9%
既製服(全素材) +6.1% 累計の数字は未確認

いずれも前年同期比。made-upsは、布を縫製してつくる寝具やカーテンなどの仕立て品を指す区分です。出典:繊維省の発表を伝える報道(末尾の出典一覧を参照)

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年度全体の数字と並べてみる

今回の伸びが際立って見える理由は、直前の年度の数字と比べると分かります。繊維省が2026年4月に発表した2025年度(2025年4月〜2026年3月)の統計では、ハンドクラフトを含む繊維輸出全体は約3.16兆ルピーで、前年度比2.1%増でした。ハンドクラフト(手織りカーペット除く)は、1,494億5,500万ルピー(14,945.5クロール)から1,585億5,100万ルピー(15,855.1クロール)へ、6.1%の増加です。この6.1%は、主要な区分のなかで最も高い伸びとして報じられていました。

つまり、年度全体で6.1%だったハンドクラフトの伸びが、新しい年度の最初の5か月では44.0%に高まっていることになります。

輸出促進団体の数字は少し違う顔をしています

インドには、ハンドクラフト輸出を支援するEPCH(Export Promotion Council for Handicrafts)という非営利の団体があり、独自に輸出額を集計しています。2026年8月にEPCHが発表した内容では、2025年度のハンドクラフト輸出は33,425.26クロール(約3,342億ルピー、37億8,316万米ドル)で、ルピー建てでは0.91%増、米ドル建てでは3.40%減でした。

declining by 3.40% in US dollar terms

(訳)米ドル建てでは3.40%の減少

— tennews.in(EPCHの発表を伝える報道)

繊維省の数字(約1,586億ルピー)とEPCHの数字(約3,342億ルピー)は、金額の大きさがまったく違います。これは、どの品目までを「ハンドクラフト」に含めるかという集計の範囲が異なるためと考えられます。同じ言葉でも、出どころによって指しているものが違う、という点は覚えておきたいところです。また、ルピー建てかドル建てかによっても、見える景色は変わります。

同じ発表のなかで、EPCHは2026〜27年度に向けた「Aggressive Export Promotion Mission 2026-27」という輸出促進の取り組みを打ち出したと報じられています。市場の拡大、産地(クラスター)の育成、国際的な販促などを進める計画とのことです。

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この数字を、どこまで読み取れるか

「世界の手仕事への需要が根強い」と読みたくなる数字ではありますが、今回の統計から言えることには限りがあります。

ひとつの国の、輸出額の統計です

これはインド一国の輸出額の統計で、生産量や、世界全体のクラフト市場の規模を直接示すものではありません。海外の買い手がインドの手工芸品をより多く求めた結果である可能性はありますが、それだけを表した数字ではない点には注意が必要です。

伸びの理由は、公表資料からは分かりません

繊維省は、全体の好調について「市場アクセスの改善、政策面の後押し、付加価値化や市場の多様化への継続的な取り組み」と説明していると報じられています。一方、ハンドクラフトの41.4%という数字そのものについて、個別の要因や前年同月の水準(比較の土台)にふれた説明は、私が確認できた範囲では見つかりませんでした。前年の数字が低かった反動で伸び率が大きく見えている可能性もあり、現時点で理由を断定することはできません。

布を探している人にとっての目安として

布に関わるところでは、綿糸、綿織物、made-ups、ハンドローム(手織り)製品をまとめた区分が8月に24.1%増えています。ただし、この区分には糸や仕立て品も含まれているため、「布の輸出だけ」の伸びとしては読めません。それでも、インドの綿や手織りの布が世界で動いている流れの一端として、目に留めておく価値のある数字です。

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まとめ

インド繊維省の発表によれば、2026年8月のハンドクラフト(手織りカーペット除く)の輸出は前年同月比41.4%増、4〜8月の累計では44.0%増でした。2025年度の6.1%増と比べても、勢いが増していることが分かります。一方で、EPCHの数字では2025年度のハンドクラフト輸出はドル建てで減少しており、同じ「ハンドクラフト」でも、集計の範囲や通貨によって見え方が違います。

大きな数字の裏には、いつも「何を、どの範囲で、どの通貨で数えたか」があります。手仕事のものが世界を巡っている様子を想像しながら、数字は少しだけ慎重に受け取る。そんな距離感が、ちょうどよいのかもしれません。

出典について:インド繊維省の発表内容は、公式サイトの原文ではなく、発表を伝える複数の報道(下記)で確認しています。数字は2026年10月6日時点の報道にもとづき、ルピー建ての名目値です。

SOURCES

2026年8月の繊維輸出(9月17日の繊維省発表):SocialNews.XYZ/KNN India(MENAFN)/Business Standard
2025年度(FY26)の繊維・ハンドクラフト輸出(繊維省の4月発表):Business Standard/SocialNews.XYZ
EPCHの2025年度ハンドクラフト輸出と2026-27年度の取り組み:tennews.in
EPCH公式サイト:Export Promotion Council for Handicrafts

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