バナナの茎から生まれる生地 BANANA CLOTH®

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綿、ウール、リネン、シルクに続く”第5の天然繊維”を目指すBANANA CLOTH® を紹介します

BANANA CLOTH®という選択ー”捨てられる茎”から生まれる、第5の天然繊維

綿、ウール、リネン、シルク。人が長い年月をかけて育て、紡いできた天然繊維の系譜に、いま新しい名前が加わろうとしています。その名も「BANANA CLOTH®(バナナクロス)」。原料はなんと、バナナの実を収穫したあとに切り倒され、そのまま廃棄されてきた”茎”の部分です。ゴミだったものが、なぜ生地になり得るのか。そして、パリ・コレクションの舞台にまで立つようになったのはなぜなのでしょうか。


なぜ、バナナの”茎”から生地をつくるのか

バナナという植物には、少し不思議な性質があります。一度実をつけた株からは、二度と実を収穫することができません。そのため農園では、収穫のたびに茎を伐採し、新しい株を植え直すというサイクルを繰り返しています。その結果、世界中で発生する茎の廃棄量は、収穫される果実そのものの約6倍、年間にしておよそ10億トンにものぼるといわれています。

この大量の茎は、これまで現地で野焼きされてCO₂を排出したり、放置されたまま腐敗して悪臭や土壌汚染の原因になったりしてきました。この”見過ごされてきた廃棄物”に光を当てたのが、MNインターファッション株式会社を中心とする「BANANA-CLOTH推進委員会」です。ソトーや吉田染工、貴志川工業など複数の繊維関連企業が理事として名を連ね、原料調達から紡績、卸売りまでを協調しながら進めているプロジェクトで、廃棄されるはずだった茎から繊維を取り出し、価値ある資源へとアップサイクルする仕組みを築いてきました。

茎1本(約25kg)から採れる繊維は500〜750g程度。単純計算でも、世界の廃棄量からは年間およそ2,000万トンもの繊維採取が見込め、これは代表的な天然繊維である綿花の生産量に匹敵する規模だといいます。新たに畑を切り拓いて栽培する必要がなく、追加の水や農薬、肥料も要らない。「育てて作る」のではなく「すでにあるものを活かす」という発想そのものが、この素材の一番の個性なのです。

PROFILE

「BANANA CLOTH®」はMNインターファッション株式会社の登録商標。同社は素材開発を軸に、サステナブル領域でのアパレル企業や自治体との協業を数多く手がけています。
参照:MNインターファッション株式会社 公式サイト

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着心地・耐久性ー生まれ変わった繊維の実力

バナナの茎から採れる繊維は、単体では繊維長が短く、そのままでは十分な強度の糸になりにくいという性質があります。そこでBANANA CLOTHでは、上質な超長綿と混紡することで糸としての強さを補っています。試行錯誤の末にたどり着いたのが「バナナ30%:超長綿70%」という黄金比。糸の強度・品質・生産効率のバランスが最も良かったことから、この配合に落ち着いたそうです。

触ってわかる、麻に似たドライ感

実際に生地を手にした業界紙の記者による感想としても、綿100%の生地と比べてよりさらさらとした、麻に近い風合いだと紹介されています。この心地よいシャリ感の裏には、高い吸水性・吸湿性と通気性があり、汗をかいても蒸れにくいという機能面での特長もあります。夏場の一枚や、肌に直接触れるアイテムとの相性が良いのも納得です。

靴下からデニムまで、幅広い展開力

繊維そのものがしっかりしているため、糸にしたあとの耐久性も十分。靴下やハンカチ、トートバッグといった日用品から、Tシャツやパーカー、デニム、帆布(キャンバス生地)まで加工できる懐の広さがあります。実際に、ライフスタイルブランド「GOOD FOOD」ではBANANA CLOTHを使ったTシャツやパーカーなど全23型が継続的に販売されており、日用使いできる素材としての実績も着実に積み上がっています。

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アップサイクルがもたらす、3つの社会的意義

BANANA CLOTHが注目される理由は、着心地の良さだけではありません。廃棄物を活用するという行為そのものが、いくつもの社会課題に応えています。

1.CO₂と環境汚染の削減

野積みによる腐敗や、野焼きによるCO₂排出を減らすことは、地球規模の環境負荷はもちろん、現地の衛生環境の改善にも直結します。

2.バナナ農家の新たな収入源

これまでただ捨てるしかなかった茎が「売れる資源」に変わることで、農家にとっては果実に次ぐもうひとつの収入の柱が生まれます。廃棄物の再活用が雇用機会の創出にもつながっているといわれており、素材の魅力の伝え方として、SHIBUYA109 lab.とのポップアップイベントなど、Z世代に向けたサステナブル教育の場としても活用が広がっています。

3.土に還る、完全な天然素材

混紡する相手にポリエステルなどの化学繊維ではなく、あえて超長綿という天然繊維を選んでいるのもポイントです。使い終えたあとは再び土へと還っていく、循環型の素材であることを最初から設計に組み込んでいるのです。

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静かなトレンドから、モードの舞台へ

BANANA CLOTHは、靴下やハンカチ、バッグといった暮らしに寄り添うアイテムから静かに浸透してきましたが、直近ではハイファッションの世界からも熱い視線を集めています。象徴的なのが、東京発ブランド「doublet(ダブレット)」による2026年春夏コレクションでの採用です。デザイナー井野将之氏が2012年に立ち上げたdoubletは、「違和感のある日常着」をコンセプトに掲げ、2018年にはLVMHヤングファッションデザイナープライズのグランプリを受賞するなど、世界的に評価されてきたブランド。

2025年6月にパリで発表された今回のコレクションは「いただきます/ITADAKIMASU」をテーマに、食物連鎖や生命の循環への感謝を、サステナブルな素材や遊び心のあるディテールで表現したもの。廃棄予定だったバナナの茎から再生された糸で編まれた裏毛を使い、バナナの皮をむくような所作をファスナーの開閉で再現したアイテムも登場するなど、BANANA CLOTHという素材の背景にあるストーリーごと、洋服の物語に組み込まれていました。

“…undoubtedly a head-turner.”
(…間違いなく、人々の視線を釘付けにするコレクションだった。)


Hypebeast「Doublet SS26 Turns Produce Into Playful Couture at Paris Fashion Week」

廃棄されるはずだった茎の繊維が、パリのランウェイで語られる物語の一部になる。そんな循環の広がり方こそ、この素材がただの「エコな代替品」ではなく、独自の魅力を持つ天然繊維として選ばれ始めている証だと言えそうです。

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まとめ ー “廃棄物”という言葉が似合わなくなる日

綿、ウール、リネン、シルクに続く”第5の天然繊維”を目指すBANANA CLOTH®。その根っこにあるのは、特別な技術というよりも「見過ごされてきたものに、もう一度目を向けてみる」というシンプルな視点なのかもしれません。麻に似たさらりとした肌触りを楽しみながら、その一枚の背景にある農家の暮らしや土に還るまでの物語に、少しだけ想像を巡らせてみる。ファブリック好きにとって、そんな小さな寄り道もまた、生地選びの楽しみのひとつになりそうです。

jumble shop oneでは、厳選した海外ファブリックを取り揃えています。

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