カーテンはいつから?日本のカーテンの歴史

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家の中で大きな面積を占める布といえば、各部屋にあるカーテン。カーテンはいつから日本で使われているんだろう。
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fabric & life

カーテンが日本にやってきた日
窓辺の布が変えた、暮らしの風景

Jumble Shop Journal

毎朝、当たり前のように引くカーテン。光を遮り、外の視線をやわらかく受け止めてくれる、窓辺の布。でも、ふと考えてみると——日本の家にカーテンが登場したのは、いったいいつのことだったのでしょう。障子とふすまで暮らしてきた日本人が、布を窓に吊るすようになるまでには、思いのほか長い時間と、大きな時代の変わり目がありました。

カーテン以前の日本——几帳・御簾・壁代

日本にはもともと、カーテンに相当するものが独自の形で存在していました。平安時代の寝殿造の邸宅では、「几帳(きちょう)」「御簾(みす)」「壁代(かべしろ)」という三つの布物が、空間を仕切り、視線を遮る役割を担っていました。

几帳(きちょう)
絹の織物を衝立(ついたて)にしたもの。部屋の中を自在に動かせる間仕切りとして使われました。

御簾(みす)
竹を細かく編んだすだれの高級品。光と風を通しながら外からの視線を遮る、繊細な知恵が詰まった道具です。『枕草子』や『源氏物語』にも数多く登場し、貴族の男女が御簾越しに言葉を交わす場面は、平安文学の象徴的な情景でもあります。

壁代(かべしろ)
壁の代わりに掛けられた絹の布。現代のカーテンにもっとも近い形といえるかもしれません。現在も神社で見られることがあります。

武家の時代に入ると、これらにとって代わるように壁・襖・障子が普及していきます。特に障子は、和紙を通して光を柔らかく取り込みながら外の視線をやんわり遮るという、日本の気候と美意識に合った、合理的な仕切りでした。

つまりカーテン以前の日本では、「完全に遮断する」のではなく、「光も風もゆるやかにつなぐ」という発想で、窓辺の布が使われていたのです。

カーテンの初上陸——江戸時代、出島にて

現代のカーテンが日本の地を初めて踏んだのは、江戸時代初期のこととされています。長崎の出島に外国公館が設けられた頃のことです。ただしその頃は、あくまで外国公館の中だけの話。日本人が実際にカーテンを使い始めたのは、幕末から明治にかけての時代だったと考えられています。

当時のカーテンはほとんどが輸入品で、重厚かつ高価なものでした。「窓掛け(まどかけ)」と呼ばれ、一部の上流階級だけが手にできるものでした。「カーテン」という言葉が一般に使われるようになったのは、明治末期になってから。国内での生産も始まり、素材として綿・毛・絹・麻などが使われるようになりました。

大正期に入ると中産階級が増え、生活改善運動の影響もあってカーテンは少しずつ広がりを見せます。関東大震災後の建築の近代化・洋風化も追い風となりましたが、それでもまだ「一部の上流階級のもの」という位置づけでした。

カーテンが「みんなのもの」になった日——昭和30年代の団地革命

カーテンが一気に一般家庭へと広まったのは、昭和30年代(1950年代半ば)のことです。戦後の復興と高度経済成長の波に乗り、都市部では住宅不足が深刻化。その解決策として、1955年に日本住宅公団が設立され、大規模な集合住宅の建設が始まりました。

この「団地」が、カーテン普及の大きな契機となりました。ダイニングキッチンにベランダ、椅子とテーブルで食事をする洋風の暮らし——それまでの「茶の間」から「リビングルーム」へという移行が、窓辺の景色も変えていったのです。畳と障子の和室には似合わなかったカーテンが、洋室スタイルの団地の窓にはとてもよく似合いました。

昭和40年代に入ると、遮光・遮熱・防音といった機能を持つカーテンも登場し、カーペットやカーテンは「憧れの洋室アイテム」として一世を風靡します。ドレープカーテンとレースカーテンのセットというスタイルも、この時代に定着しました。

そしてバブル期前後の1980年代後半には、ローマンシェードやロールスクリーンなどの新しいスタイルも登場し、窓まわりのインテリアはさらに多彩に広がっていきます。

布と暮らし、その長い関係

平安の几帳から昭和の団地のカーテンまで——日本人と「窓辺の布」の歴史をたどると、それが単なる遮光や目隠しの道具ではなく、その時代の暮らし方や美意識、建築様式とともに移り変わってきたことがわかります。

カーテンという西洋由来のものが「一般家庭の必需品」になるまでには、明治からおよそ100年かかりました。日本の住まいと文化がゆっくりと形を変えていく中で、窓の前の布もまた、その時代の「普通の暮らし」を映し出してきたのかもしれません。

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