「手作りしなきゃいけないの?」
入園・入学グッズの現実と、賢い選び方
毎年1月から3月頃になると、SNSのタイムラインが少しざわつきます。「レッスンバッグ、縦40cm×横30cmで手作り指定って……どういうこと?」「ミシン持ってないし、もう泣きそう」——そんな声が、年々増えているように見えます。
子どもの入園・入学を春に控えた保護者にとって、「手作り指定」という壁は決して小さくありません。働く家庭が当たり前になった今、この慣習はどう変わりつつあるのか。園・学校側の本音はどこにあるのか。そして、手作りが難しくても「わが子らしさ」を表現する方法はあるのか。今回は、SNSの生の声も交えながら整理してみました。
SNSに広がる、手作り指定へのリアルな声
X(旧Twitter)やInstagramには、毎年2〜3月ごろになると入園・入学グッズにまつわる投稿があふれます。手作りの完成を喜ぶ声がある一方で、困惑や疲弊の声も少なくありません。
「手作りを指定する保護者が多い園だったので、さすがに自分で縫うのは無理と判断。ネットのハンドメイドサイトに注文したら、クオリティが高くて助かりました」
「スーパーや量販店で売っているものは似たデザインになりがちなので、ネットでオーダーして作ってもらいました。子どもも気に入ってくれて正解でした」
一方で、手作りを肯定的にとらえる声もあります。「すべて同じ生地・同じデザインで揃えると、子どもが自分のものを一目で判別できる」「袋の数が多いのなら、まとめて同じ布で作った方が探し回るより楽」——つまり、愛情や義務感からではなく、合理的な理由で手作りを選ぶ親御さんも増えているということです。
「手作り=愛情」という呪縛は、少しずつほどけている
赤ちゃん本舗が実施した1,085人への調査によると、園から「手作り」または「手作り推奨」と指定された品目として最も多かったのは通園バッグや絵本バッグなどの袋物。ただし同調査では「手作りとは指定されていないが、指定サイズに合う市販品が存在しなかった」「市販品と区別するためにワッペンを付けるよう言われた」といった声も見られ、「純粋な手作り義務」は以前より少なくなっていることが伺えます。
園・学校が「サイズ指定」にこだわる、本当の理由
「なぜミリ単位で指定されるの?」と疑問に思う保護者は多いはずです。保育士歴40年のベテランの先生がブラザー社のインタビューで語った言葉が、その背景をよく教えてくれています。
「お布団カバーは、子どもが自分で布団の出し入れをしやすいようにスナップやマジックテープを使うように指定しています。自分でお片付けをするのは、責任感を育むことにもつながるんですね」— ブラザー工業「保育士のプロに聞く、入園グッズ準備のポイント」
サイズ指定の3つの理由
園や学校がサイズにこだわる理由は、主に3点に整理できます。
1. 収納スペースの問題——園のロッカーやフックはサイズが決まっています。大きすぎる袋が床を引きずったり、隣のフックに干渉したりするため、「その場所にぴったり収まるサイズ」が求められます。
2. 子どもが自分で使えること——市販品の硬いマジックテープや複雑な留め具は、指先の力がまだ弱い年少児には扱いにくいことがあります。子どもが自分で開け閉めできる、体格に合ったサイズを重視している園では、自立支援の観点からサイズを細かく指定します。
3. 持ち物の取り間違い防止——市販の人気キャラクターバッグは、クラス内で複数の子どもが同じものを持ってくることも珍しくありません。自分だけのデザインにすることで、取り間違いを防ぐ効果があります。
プロの保育士の本音:「市販品でも、ハンドメイド代行でも問題ない」
「最近はハンドメイドマーケットで購入される方も多く、クオリティも非常に高いと感じています。手作りに自信のない方は、こういった形で準備されるのも特に問題ないと思います」— 同インタビューより
「さまざまな入園グッズを用意する究極の理由は、子どもが園でスムーズに学びを得るのを助けること。それが実現できるなら、手作りだろうが市販品だろうが問題ない」——ミニマリストブロガーのこの言葉は、多くの保護者に響いているようです。実際、保育園側も「お仕事で忙しいのはよく分かっています。手作りにかける時間を、お子さんとの時間に使っていただいてもいい」というスタンスを取る園が増えています。
「お父さんが作った」は、もう珍しくない
入園グッズの手作りは、長らく「お母さんの仕事」という暗黙の前提がありました。でも、共働きが標準となり、育児への父親参加が当たり前になりつつある今、その空気は確実に変わってきています。
ミシン未経験の父親が、ひとりで全部作った話
ネット上には、「ミシン未経験の父親が入園グッズを一から作った」体験談が少なからず見られます。手芸ブログや育児コンテンツのコメント欄には「パパが作りました!」という投稿も増え、ミシンメーカー各社のウェブサイトでも「ママ・パパ向け」と明示した初心者向け解説ページが増えています。クラフトハートトーカイの入園グッズ解説ページも「初めての入園・入学準備で不安なママ、パパも、このページを読めばまる分かり!」という言葉を正面に掲げています。
「ミシンも使ったことがない初心者が入園・入学グッズを作るとなると、まず何をしたらいいのかわからない——というのが正直なところ。でも動画と書籍を組み合わせれば、意外となんとかなる」
それでも、まだ「母親寄り」な現実
とはいえ、手芸キットの紹介文には「忙しいママにおすすめ」「初心者ママも安心」といった表現が今もあふれています。ミシン初心者の父親が奮闘する体験談がSNSで注目を集める(=まだ珍しい)こと自体が、現実をよく表しています。育児の役割分担として、手作り準備が女性側に偏りやすい構造はまだ残っているのが実情です。
ただ、変化の芽は確実に出ています。「作る・作らない」よりも「どちらが担うか」という議論が家庭の中で生まれていること自体、一歩前進と言えるでしょう。入園準備をふたりで考えるきっかけにしてみるのも、悪くないかもしれません。
今、保護者が選べる現実的な3つの方法
「手作り文化」は今、大きな転換期にあります。重要なのは「誰が縫ったか」ではなく「子どもが使いやすいかどうか」。この視点が広まるにつれ、選択肢も多様化しています。
方法1. ハンドメイドマーケットでオーダー
minne・Creemaといったハンドメイドマーケットには、毎年春になると入園グッズ出品が一気に増えます。サイズ指定をそのまま伝えてオーダーできる作家さんも多く、既製品にはない個性を持ちながら、手間を大幅に省けます。ただし人気作家への注文は3月以降に殺到する傾向があるため、早めの動き出しが安心です。
方法2. 手芸店でのオーダー縫製サービス
クラフトハートトーカイなどの手芸チェーンでは、店頭の生地から好きなものを選んでオーダー縫製できるサービスを展開しています。2024年度の注文実績は1万6,000件超というデータもあり、年々利用者が増加しています。サイズ変更はもちろん、ポケット追加やワッペン縫い付けといった細かなカスタマイズにも対応。「生地選びの楽しさ」は残しながら、縫う手間だけ省けるのがポイントです。
方法3. 市販品+ワッペンで「わが子らしさ」を出す
シンプルな市販品を土台にして、アイロン接着ワッペンや刺繍でオリジナルを加える方法も人気です。園によっては「市販品にワッペン等で区別できるようにしてほしい」と案内しているケースもあり、むしろ推奨されているとも言えます。ベースとなるバッグの品質が安定しているため、耐久性を確保しながら個性を足せるのがメリットです。
「市販品の大きすぎるバッグだと既製品のサイズが合わないことが多い。ただ、手作りサービスを使えば指定サイズもクリアできる」

市販品でいい。それでも「うちの子らしさ」が欲しいなら
「手作りしなければ」という義務感から解放されてみると、入園・入学準備はぐっと軽くなります。市販品を上手に活用すること、プロに頼むこと——どれも立派な選択です。
それでも、「市販品と同じものではなく、うちの子のためだけのものを作りたい」と感じる気持ちは、とても自然なことだと思います。愛情からではなく、子どもが「これ、自分のだ」と目を輝かせてくれる顔が見たいから——そういう動機は、きっと本物です。
そんなときに、まず選んでほしいのが「生地」です。どんな生地を選ぶかで、バッグの顔はがらりと変わります。jumble shop one では、国内ではなかなか手に入らない海外のファブリックを厳選してご用意しています。シンプルな巾着袋でも、素材が個性的ならそれだけでオリジナルになれる。縫製はお任せして、生地選びだけ楽しむ——そんな入園準備の形もあるんじゃないかと思っています。
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生地選びから入園準備をはじめてみませんか。
