世界の入園・入学準備を比べてみた

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指定サイズに合わせて親が縫うという日本の入園入学準備は世界的にはかなり珍しい文化

「指定サイズの巾着袋」はなぜ日本だけ?世界の入園・入学準備を比べてみた

縦◯cm×横◯cmの手提げ袋、上履き入れ、体操着袋、コップ袋。春が近づくと、手芸店の店頭に入園入学コーナーができ、家庭にはミシンの音が響きます。日本では当たり前のこの光景ですが、海外の親たちも同じように針と糸を手に春を迎えているのでしょうか。


1. 日本の「手作り文化」は、どうやって定着したのか

日本の幼稚園・保育園では、入園説明会で「手提げ袋、上履き袋、体操着袋、なわとび袋などは、縦◯cm×横◯cmでご用意ください」と、驚くほど細かいサイズ指定が渡されることが珍しくありません。ロッカーや靴箱の大きさ、活動動線に合わせて園ごとに規格が決められているためで、既製品では微妙にサイズが合わないケースも多く、結果として「作った方が早い」「好きなサイズに調整できる」という理由から、手作りを選ぶ家庭が多くなっていきました。

あるハンドメイド好きの母親は、手作りを選んだ理由についてこう語っています。

「布を買う楽しみ」「様々なグッズの幼稚園のサイズ規定が細かい」ことが、手作りを選んだ理由。

もちろん、すべての家庭がミシンを持っているわけではなく、「手作りしないと愛情が足りないと思われそう」というプレッシャーに悩む声も少なくありません。実際には多くの園が「できる範囲で」と案内しており、既製品や、生地とパーツだけ揃えて仕立てを外注する方法、レッスンバッグ・シューズケース・体操服袋・お弁当袋・コップ袋が一式そろった既製品セットを選ぶ家庭も存在します。それでも、布小物専門店が入園入学シーズンに合わせて特設コーナーを設けるほど、手作り前提の市場が成立していること自体が、日本特有の文化と言えそうです。

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2. アメリカ・ヨーロッパでは「既製品を買う」が大前提

持ち物は「個人のもの」と「クラス共有のもの」に分かれる

アメリカの学校が配布する「school supply list(学用品リスト)」を見ると、日本の入園準備との違いがよく分かります。クレヨンやのり、ティッシュ、はさみといった消耗品の多くは、あらかじめ「Please do not label them(名前を書かないでください)」「community supplies(クラスの共有品です)」と指定されており、家庭ごとに購入したものを教室でひとつにまとめ、クラス全員で分け合って使う仕組みが一般的です。

“Personal school supplies stay with your child, while communal school supplies are collected and shared within the classroom.”
(個人用の学用品は子どものもとに残り、共有品は教室に集められてクラス全体で使われます。)


— A Mama’s Corner of the World

この「共有制」があるからこそ、そもそも「ひとつひとつに名前を刺繍して、専用の袋に入れる」という発想自体が生まれにくいのです。個人で持ち続けるバックパックやランチボックスについても、サイズを細かく指定されることはほとんどなく、スーパーやオンラインストアで既製品を選ぶのが標準的な準備方法になっています。

フランスの「rentrée」も、規格化された既製品文化

フランスでも新学期(rentrée)の前になると、学校からfournitures scolaires(学用品)のリストが配られますが、そこに並ぶのはcartable(通学かばん)やtrousse(筆箱)、定規、はさみなど、すべて店頭で購入する前提の既製品です。カルトブルは「3年間は持つように」とサイズや耐久性で選ばれ、名前入りの筆箱も、刺繍ではなく名入れシールやプリントサービスで仕上げるのが一般的。布地から仕立てるという発想は、ほぼ登場しません。

→入園準備・通園通学手作りグッズ。初心者でも安心。入園グッズ・通学アイテムの作り方

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3. 海外にも「手作り」はある。ただし、目的がまったく違う

海外にハンドメイドの子ども用品がまったく存在しないわけではありません。Etsyでは、名前入りのランドリーバッグやレッスンバッグ風の巾着が数多く販売されています。ただしこれは「親が自分で作る」のではなく、「作り手から手作り品を買う」という消費のかたち。園から指定された規格に合わせるためではなく、「かわいいから」「特別感がほしいから」という、趣味・嗜好としての選択にすぎません。

もうひとつ興味深い例が、シュタイナー教育(Waldorf教育)です。この教育思想では、既製の玩具よりも手作りの人形や道具を子どもに与えることが重んじられており、保護者や教師が集まって布人形を作るクラフトサークルが今も各地に存在します。

“Parents and teachers often make dolls in community craft groups drawing on European cloth-doll techniques.”
(保護者や教師は、ヨーロッパの布人形の技法を参考にしながら、コミュニティのクラフトサークルで人形を作ることがよくあります。)


— Wikipedia「Waldorf doll」

ここでも手作りの動機は「規格に合わせるため」ではなく、「自然素材や手仕事に触れさせたい」という教育理念に基づくもの。学校側から「指定サイズで作ってきてください」と要請されることはまずありません。

近隣アジア圏も、既製品シフトが進んでいる

韓国や中国、台湾といった近隣のアジア圏でも、通販サイトを覗くとキャラクターものやブランドものの入園入学グッズが「既製品」として数多く流通しており、日本のように親が布から仕立てる文化はあまり広がっていない様子がうかがえます。日本の「園ごとの細かいサイズ規定」と、それに応える形で発達した手作り市場は、布小物を多用する園生活の仕様とセットで育った、かなり独自の文化だと言えそうです。

 

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まとめ:「手作り」が愛情表現になる国は、実は珍しい

調べてみると、「指定サイズに合わせて親が縫う」という日本の入園入学準備は、世界的にはかなり珍しい文化であることが見えてきました。海外では既製品を買うのが大前提で、手作りをする人がいても、それは規格への対応ではなく、あくまで趣味や理念に基づく「選択肢のひとつ」。日本の「布小物を細かく指定する園文化」と「手作りを愛情表現とする感覚」が組み合わさって生まれた、独自の風習なのかもしれません。だからこそ、この時期に選ぶ生地一枚にも、少し特別な意味が宿るのだと思います。

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